溺れる身体

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「茉歩がこんなに感じ易いとは思わなかったよ」 束の間のピロートークで、嬉しそうに零す慧剛。 「もうっ、恥ずかしい事、言わないで」 ベッドでは敬語を禁止されて、 慣れない口調で言い返す。 でも実際、自分でも今日の感度は異常だと思ってる。 前回の比じゃなくて。 あの時アルコールは、欲を増長させただけで… 寧ろ感度は鈍らせてたんじゃないかと思う程。 とはいえ、そんな前回は元より。 こんなに感じたのは慧剛が初めてで。 いけない行為だからなのは、もちろん。 拒否されたと思ってた相手から、受け入れられた喜び。 そして、こんなに激しく求められたのも初めてだったから… やたらと興奮を煽られたんだと思う。 ただ。 こんなに激しく… 誰を求めてた? ー「俺達は別に、愛し合ってもなければ」ー だから、私だとは思えなくて。 やっぱり私を身代わりに、別れた彼女さんを求めてた…? 「…どした?」 慧剛が優しい眼差しで問い掛けながら、 私の髪を梳き撫でる。 それだけで、私の身体は溶けそうになる。 「ううん。 っ…… ね、もしもね? 会社が目的の規模まで成長した時、 まだ前の彼女さんが待ってたら… どうする?」
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