溺れる身体

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とたん慧剛は、驚きを帯びて僅かに戸惑うと。 「っ、どうもしないよ。 その頃俺は、とっくに婚約者と結婚してるだろうし。 第一、あいつは待ってたりしない」 そう寂しそうに微笑した。 やっぱり… まだ愛してるんだ。 胸が切なさで押し潰される。 「何でそう、言い切れるの?」 「… お前より仕事の方が大事だ、って。 結婚するなら会社の役に立つ女とする、って… そう傷付けたから」 「どうしてそんなっ… 愛してたんでしょ!?」 「だからだよ。 愛し合ってる状況で別れたら… 忘れられずに苦しむだろ? それに、俺がこの道を選んだのは事実だから」 そんなの、選ばざるを得なくて選んだくせに… 愛する人の為に、その人から敢えて嫌われる行動を取るなんて。 そんなに愛してたんだ? それは、切な過ぎるだけじゃなく。 ほんとにこの人は、 なんてほっとけない人なんだろう…! 「だったら私は… その道を何としてでも、成し遂げれるようサポートします」 力強く訴えると。
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