溺れる身体

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「ふっ、敬語!」 ダメ出しと共に、柔らかい笑顔が返って来た。 その笑顔に胸をくすぐられて… そんな笑顔を向けて貰えるだけで、充分だなんて思えたりする。 けど。 ー「もう、一度じゃ終われない」ー その日から私達は、毎日のように抱き合った。 欲の消化どころか、 まさしくミイラ取りがミイラ状態で。 休日も、聡には"次のプロジェクトが忙しいって"嘘を吐いて、専務室に通ってた。 聡の為に止めていたピルも再開して。 私はどんどん… 慧剛の身体に溺れていった。 不倫じみた事なんかしたくないとか、罪悪感とか… どうでもよくなってて。 自分に、こんな恐ろしい欲が眠ってたなんて… もしかしたら私はそれを目覚めさせないように、今まで無意識にクールさを保ってたのかもしれない。 ともあれ。 一時的にしか満たされないこの欲は、増える一方で… もっともっと、慧剛が欲しい…! 溜まってく欲に、溺れ続ける。 ねぇ、慧剛。 それが私への愛じゃなくても。 動物的なただの欲でも。 激しく求められただけで… 私はもう、欲の修羅と化す。
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