溺れる身体

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それは、せめてもの罪滅しで。 元々は、慧剛の事を抜きにしても… 聡から触れられるのには抵抗があったのに。 罪悪感からか、少しは聡の気持ちも汲みとろうと思ったから。 最近じゃその抵抗も薄くなったけど… だからって! 「ねぇ聡っ… いくらでも待ってくれるんじゃなかったの!? こんな強引にされたら… 傷が癒えるどころか、逆効果だよ!」 その言葉で。 ハッと我に返って、 脱力気味に私を解放した聡は… 「ごめんっ… 俺だって不安なんだ…!」 頭を抱えて、そう項垂れた。 強引な聡は初めてで… 本当に、それほど不安だったと思う。 だけど… ー「一生許せなくても当然だよ…! 一生かけて償っていきたいんだよっ!」ー そう思ってくれたなら… 夫婦関係の修復が容易じゃない事くらい、 解ってるよね? 不倫の挙句、離婚を突き付けたんだから… そんな苦しみ、当然の報いでしょ? とはいえ。 慧剛に溺れてる今となっては、 聡の身体を拒む口実があって良かったなんて… 私はもう、狂ってる。
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