溺れる身体

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そして私もいつか、当然の報いを受けるんだろう… それを解ってて。 いけない事だと解ってて。 どうして止められないんだろう…! 「俺も泳ぎたいな」 同行の最中。 信号待ちのタクシー内から見える、市民プールを映して… 目を輝かせて呟く慧剛。 「もうすっかりそんな季節なんですね」 「茉歩は泳ぐの好き? お望みなら、今のビルにプールジムでも造るけど」 「いきなりスケールが大きいですね… でも私の好みは別として、いい案だとは思いますよ? そういったマンション、最近は増えてますし」 「ん。だから新しくそういったマンションを建てるか、今のビル地下を改造するか悩んでたんだけど… 茉歩が喜ぶなら、改造に決定だなって」 「っ…! 仕事にそんな理由、持ち込まないで下さいっ」 そう怒りながらも… 嬉しくて、嬉しくて。 乱れる感情を隠し切れず、慧剛から顔を背けた。 そして、ちょうど発進したタクシーから窓の外のプールを映して… ふと、自分に重ねる。
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