溺れる身体

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それは流れるプールで… そんな風に私も、欲に翻弄されて流されて。 流れに逆らって、欲情を抑え付けたりして抵抗すれば… 逆に溺れて。 きっと、もがいたらもっと逆効果で… それを口実に、欲に身を委ねてる。 だいたい溺れてる私に、どうにかする余裕なんかなくて。 聡の存在と、その優しさに… しっかりしなきゃ!ってしがみ付いたところで。 それは藁でしかなくて。 今なら、不倫に溺れてた聡の気持ちだって理解してあげられる筈だけど… そんな事考えたくもないし、どうでもよくて。 今はただ、慧剛への欲しかない。 愛のない、身体だけの関係に… どうしてこれほど溺れるのか。 そんなのきっと理屈じゃなくて。 心なんて大抵、理性や道徳や建前で隠されてて… 身体が1番、素直な気持ちを表してるのかもしれない。 だからって、これ以上どうするつもりもなければ… どうにもならない訳で。 そんなの解ってる… 解ってるんだってば!
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