溺れる身体

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でも聡にとっては、それでいい訳なくて。 いくら不倫がバレてなくても、 私達夫婦の溝が広がってるのは歴然で。 「なぁ、茉歩… …仕事、辞める気はない?」 「っ、何言ってるの? この前入社したばかりだし、やっと慣れた所なのに… そんなの非常識だよ」 「けどちょっとハード過ぎないかっ? せめて… 勤務時間くらいは減らして貰えるように、交渉出来ないかな…?」 「… 今は社長が不在だし… その分専務の負担が増えれば、秘書の私まで忙しくなるのは当然だし… そんな時にそんな交渉、出来ないよ」 「っ… そんなに仕事が大事? 俺の頼みでも聞けないっ? なぁ茉歩っ! 一度は俺の為に辞めてくれただろっ!? もう一度それを、考えてくれないかなぁ!?」 「その時とは状況が変わったでしょ!? 第一、それを無駄にして今の状況を作ったのは聡じゃない…!」 「そうだけど…! でもこれじゃ! せっかく茉歩を選んだのに、もう俺は必要ないんじゃないかって… 不安なんだっ!」
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