溺れる身体

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あれほどの過ちを差しおいて、自分の不安を主張する聡と。 こんなにも欲に溺れて、それを取り繕いながら続けようとしてる私。 私達夫婦は、もう終わりなのかもしれない。 だいたい… せっかく茉歩を選んだのに、って。 裏切りの上で選ばれた事に、何の価値があるの? 寧ろ妻を馬鹿にしてる。 しかも、せっかくって何? 選んだ見返りを求めてるようで、反省が感じられないし。 自分で招いた状況を受け入れられないなんて… "一生かけて償っていきたい"は、口だけだった? 人の傷なんて、所詮解らなくて。 簡単に修復出来ると思ってた? クールな私なら、あっさり切り替えてくれるとでも思ってた? 同じ過ちを犯してなければ、そう頭に来てただろう。 だけど。 「不安にさせて、ごめんね… せめて早く帰れる日を、作るね」 聡、ごめん…! 今の私には、それが精いっぱい。 この欲情の渦から抜け出したい気持ちはあっても… どうすればいいかなんて解らなくて。 そして、聡を不安にさせたツケは… 思ってもない形で回ってくる。
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