溺れる身体

24/29
前へ
/300ページ
次へ
「あれ、その時計… 確かプレゼンの時にもしてましたよね?」 接待に向かう慧剛の見送りに… 会社前でタクシーを待ちながら、ふと気付く。 「よく覚えてるな」 「はい。すごく素敵だと思ったので」 あの時はそれどころじゃなくて、話題にはしなかったけど。 「ありがとう。 俺の1番のお気に入りで、勝負時計なんだ」 勝負時計… 今日の接待は、今後の社運をかけた大事な接待だからだ。 「頑張って下さいね。 専務なら上手く行くって信じてます。 あ、タクシー来たみたいですよ?」 「ん。じゃあ茉歩… 今日は一緒に居られないけど、その分明日な?」 「…はい。 あ、雨が降りそうなので、傘を持って行って下さい」 優しい声とその言葉に寂しさを絆されながら… 傘を差し出した、途端。 「ちょっと!ケーゴっ!!」 いきなり怒鳴り込んで来た状況と、その相手に… 驚愕の目を向けた! そのコは見覚えのある… 聡の不倫相手で。 どういう事なのか、訳も解らず混乱に襲われると。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3397人が本棚に入れています
本棚に追加