3397人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい…
もう少し、待ってもらえますか…?」
いつしか、雨は降り始めてて。
だけど、持っている傘を差す訳でもなく。
屋根のある場所に避難する訳でもなく。
タクシーだけ引き止めると。
雨に打たれている事も忘れて、ただ佇んだ。
大事な接待だし、慧剛は必ず戻って来る。
そう思って、しっかりしようとしても。
2人の会話が、頭の中を駆け巡って…
その処理とショックに翻弄される。
ー「落ち着け、露美」ー
見覚えのある顔はもちろん。
ロミと言うその名前から、彼女は紛れもなく聡の不倫相手で。
彼女の言う"彼"は、聡に違いなくて。
そして…
ー「文句があるなら婚約なんて解消すればいいでしょ!?」ー
彼女は、慧剛の婚約者で…!
しかも!
ー「とにかく、部屋に戻るんだ」ー
2人は、このマンションに住んでいて…
きっと。
慧剛との今があるのは、成り行きじゃない。
ねぇ、慧剛…
私に近づいたのは、婚約者に手を出した聡への報復?
どこまでが偶然で、どこからが策略なの?
心が割れそうになる。
最初のコメントを投稿しよう!