悲劇のヒロイン

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本当の悲劇のヒロインは… 「なぁ、茉歩… そろそろ、いいかなぁ…?」 考える時間をもらってから、丸3日。 さっそく、離婚の承諾を催促して来た聡。 「…そろそろって、まだ3日だよ? そんな早く、人生決めれる?」 「けどっ… 彼女、妊娠してるって言っただろっ? 頼むよ! 今、情緒不安定でさ… このままじゃお腹の子にも悪影響だしっ… これ以上辛い思いをさせたくないんだ…!」 私が辛いのはいいの!? 嘘でしょ、 信じられない…! そりゃ、流産なんてされても後味悪いけど… でも私には関係ないし! ねぇ… …そんなにそのコしか、見えないの? 「茉歩……!」 思わず零れた涙に、狼狽える聡。 それにハッとした私は、慌てて涙を拭うと。 「酷すぎるよ…」 そう言い残して、その場をかわした。 ねぇ、知ってる? 本当の悲劇のヒロインは紛れもなく、不倫された方だよ? 悲しみを横取りしないで。 涙を横取りしないで。 夫を、横取りしないで!
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