慧剛side:後編

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だけど案の定。 「そんな高価な物っ… 頂けません!」 「俺とお揃いは嫌?」 「まさかっ… 嬉しいです、すごく……」 そうは言ってくれたけど、困惑の様子。 やっぱり重かったかと、一気に不安な気持ちになると。 「周りにバレますよ?」 もっともな事を危惧される。 そんなの全然構わない。 元々はそれが目的だったし、今はとにかく茉歩と形ある繋がりが欲しかった。 でも茉歩は… 噂が広がって、堀内(あいつ)の耳に入るんじゃないかと恐れてるんだろう。 「それが嫌なら、付けなきゃいい」 この際、持っててくれるだけで… いやもう受け取ってくれるだけでいい。 そうはいっても… 薬指で光ってるダイヤの指輪は、茉歩にぴったりなデザインで。 感動を与えたそいつと比べて… 半ば強引に受け取らせる事しか出来なかった自分が、情けなくて仕方なかった。 ところが次の日。 茉歩の手首にその時計が付けられてるのを目にして。 まるでプロポーズにイエスをもらえたような気になって… 嬉しくて堪らなかった。
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