3378人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
それから数日後。
ここ最近の聡にしては、珍しく早く帰って来たと思ったら…
「茉歩…
ほんとにごめん…!
俺、お前の涙見たらっ、どーしていいか解らなくなって!
だって…、俺の事なんか大して執着してないと思ってたし…
でもっ、あれからもう2週間近く経って…
彼女がもう、限界なんだっ!
なぁ、頼むよ…
お願いしますっ…!」
そろそろ来ると思ってた、離婚の催促。
優しくて、私の要望ばかり聞いてくれてた聡の…
唯一譲れない要望が、離婚なんて。
「…
…いいよ」
「…えっ?」
急にすんなり承諾した私に、拍子抜けした様子の聡。
ここに来て漸く、とりあえず承諾するという策略に踏み切れたのは…
仕事を得た事で、ほんの少し余裕が出来たからかもしれない。
「え…
ほんと、に…?」
「…
ん…、聡をそうさせた私にも、原因はあると思う。
良い妻になれなくて、ごめんねっ…!」
悲しみを浮かべながら、痛切に訴えて。
健気さを取り繕ってはみたけど…
その気持ちも嘘じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!