拾った専務と拾われた秘書

11/22

3378人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
それから数日後。 ここ最近の聡にしては、珍しく早く帰って来たと思ったら… 「茉歩… ほんとにごめん…! 俺、お前の涙見たらっ、どーしていいか解らなくなって! だって…、俺の事なんか大して執着してないと思ってたし… でもっ、あれからもう2週間近く経って… 彼女がもう、限界なんだっ! なぁ、頼むよ… お願いしますっ…!」 そろそろ来ると思ってた、離婚の催促。 優しくて、私の要望ばかり聞いてくれてた聡の… 唯一譲れない要望が、離婚なんて。 「… …いいよ」 「…えっ?」 急にすんなり承諾した私に、拍子抜けした様子の聡。 ここに来て漸く、とりあえず承諾するという策略に踏み切れたのは… 仕事を得た事で、ほんの少し余裕が出来たからかもしれない。 「え… ほんと、に…?」 「… ん…、聡をそうさせた私にも、原因はあると思う。 良い妻になれなくて、ごめんねっ…!」 悲しみを浮かべながら、痛切に訴えて。 健気さを取り繕ってはみたけど… その気持ちも嘘じゃない。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3378人が本棚に入れています
本棚に追加