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「あと、私の身を案じてくれるならな」
それも、言う通りに出来なければ心労で体調が悪化するといった脅しのようなもので。
当然だと返事をしたものの…
俺は追い詰められていた。
茉歩を守りたい。
それに露美との結婚を進めるなら、計画が上手くいってる今だ。
だけど…
茉歩と離れるなんて考えられない。
俺のものじゃなくても失いたくない。
「茉歩…」
好きだ。
「茉歩っ…」
愛してる。
ベッドの上で、そんな俺の視線から堪らなそうに逃れる瞳を、釘付けるように捕えると。
それだけで悶える姿に、愛を感じて…
それが幻でも、他には何も要らなくなって求め狂う。
「なぁ茉歩、聞いてくれっ…
俺は1人の女の為に、全てを捨てたくなってる!
けどそんな事、許されると思うかっ?」
思いが昂ぶって、思わずそれを吐き出した。
御曹司なんて聞こえはいいが…
生まれながらに自由を奪われた、しがらみの塊でしかない。
許されるなら、そんなしがらみ捨ててしまいたい。
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