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かと思えば、その数日後。
「ねぇっ、好き……っ」
絶頂の瞬間、突然零された言葉に…
俺は耳を疑った。
激しく胸を打ち付けられたものの…
それは俺の抱き方に対してで。
拍子抜けしながらも、改めて気付かされる。
子供の頃から常に冷静さを求められてきた俺は、恋愛においても穏やかな愛で。
こんな情熱的な感情は初めてだったから、当然抱き方も本来の俺とは違ってた。
そんな話をすると、茉歩も本来はベッドでもクールらしく…
「こんなに感じたのも、求めたのも、慧剛が初めて」
その言葉に胸がやられる。
初めて、って…
それは旦那より俺の方が特別だと言ってるようなもので。
つまりは俺の事をっ…
心が騒いだのも束の間。
「よっぽど身体の相性がいいんだろうね」
そっちか、とまた落ち込む。
そんな飴と鞭に翻弄されながら…
結局俺は、茉歩との関係を終わらせるかしがらみを捨てるか、答えを出せずにいた。
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