慧剛side:後編

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かと思えば、その数日後。 「ねぇっ、好き……っ」 絶頂の瞬間、突然零された言葉に… 俺は耳を疑った。 激しく胸を打ち付けられたものの… それは俺の抱き方に対してで。 拍子抜けしながらも、改めて気付かされる。 子供の頃から常に冷静さを求められてきた俺は、恋愛においても穏やかな愛で。 こんな情熱的な感情は初めてだったから、当然抱き方も本来の俺とは違ってた。 そんな話をすると、茉歩も本来はベッドでもクールらしく… 「こんなに感じたのも、求めたのも、慧剛が初めて」 その言葉に胸がやられる。 初めて、って… それは旦那(あいつ)より俺の方が特別だと言ってるようなもので。 つまりは俺の事をっ… 心が騒いだのも束の間。 「よっぽど身体の相性がいいんだろうね」 そっちか、とまた落ち込む。 そんな飴と鞭に翻弄されながら… 結局俺は、茉歩との関係を終わらせるかしがらみを捨てるか、答えを出せずにいた。
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