慧剛side:後編

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だけど親父が痺れを切らすのは時間の問題で。 決断を迫られてた俺は、失いそうな茉歩との時間が惜しくて堪らなくて… もっと一緒に居たい。 堀内(あいつ)のところに帰したくない。 茉歩の計画以来、露美の所(オーナーズルーム)に帰宅していた俺は、帰りのエレベーター内で往生際悪くそう思う。 すると、同じ気持ちだと言わんばかりに見つめてくる茉歩。 思わず… 「…帰る?」 「帰る、けど…」 そう返されたと同時、彼女のフロアに到着する。 「…そっか、…おやすみ」 「おやすみなさい…」 けど、の続きは何だった? 帰るなって引き止めたら、朝まで一緒にいてくれたか? なんて、そんな無責任な発言は出来なくて。 ー「そーゆう茉歩が、俺は好き」 「俺も。解ってくれる茉歩が、好きだよ」ー 以前は、好きなんて言葉も簡単に口に出来たのに… 今はその一言でさえ伝えられず。 扉の閉まったこの空間同様、俺の想いも閉じ込められる。
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