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だけど親父が痺れを切らすのは時間の問題で。
決断を迫られてた俺は、失いそうな茉歩との時間が惜しくて堪らなくて…
もっと一緒に居たい。
堀内のところに帰したくない。
茉歩の計画以来、露美の所に帰宅していた俺は、帰りのエレベーター内で往生際悪くそう思う。
すると、同じ気持ちだと言わんばかりに見つめてくる茉歩。
思わず…
「…帰る?」
「帰る、けど…」
そう返されたと同時、彼女のフロアに到着する。
「…そっか、…おやすみ」
「おやすみなさい…」
けど、の続きは何だった?
帰るなって引き止めたら、朝まで一緒にいてくれたか?
なんて、そんな無責任な発言は出来なくて。
ー「そーゆう茉歩が、俺は好き」
「俺も。解ってくれる茉歩が、好きだよ」ー
以前は、好きなんて言葉も簡単に口に出来たのに…
今はその一言でさえ伝えられず。
扉の閉まったこの空間同様、俺の想いも閉じ込められる。
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