拾った専務と拾われた秘書

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とりあえず… これからは、慰謝料とか今後の話を進めて。 その折り合いが着いたら、お互いの両親に話す事になった。 策略は功を成しそうもなくて… 今後の不安に押し潰されそうになりながら、次の日の終業を迎えた。 「茉歩、メシに付き合ってくれ」 用もなく、専務から夕食のお誘い。 「… 仕事とプライベートは、きっちり分けてくれる筈じゃ…?」 「そのつもりだったけど、そんな塞ぎこんだ顔で仕事されたんじゃ敵わない。 気晴らしに、美味いもんでも食いに行こう」 塞ぎこんだ顔? 聡に離婚を突きつけられた翌日の、張り裂けそうな気持ちでも… そんな心中、誰にも見破られなかったのに。 ー「人を見る目だけは長けてるんで」ー この人ほんとに、洞察力が鋭いのかもしれない。 「すみません… 明日からは気を付けるので、」 誰かと食事に行く気分じゃなくて、やんわり断ろうとしたのに。 「なに食いたい? あ。焼き肉とか元気でるんじゃないか? 焼き肉でいい?」 と、私の言葉を遮ってまで質問しといて。 そのくせ答えは聞かずに、すぐさま予約の電話を始めた。
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