拾った専務と拾われた秘書

22/22

3379人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
そんな私に、さらなる追い打ち。 「実はさ。 今日のメシは、頑張った茉歩への労いでもあったんだ。 だけどお前の事だから、遠慮心で逆に気が引けるだろ? だから言わなかったんだけど… これを逆手に取る事にした! 頑張り過ぎたら、俺も気遣ってメシに連行するから。 これからは程々にな?」 そう言ってまた、私の頭をポンポンする専務は… きっとやんちゃな笑顔で笑ってて。 「今の私の(辛い)状況で… 専務の優しさと洞察力、ズルいですっ…」 だけど俯いて泣いてる私には、そう返すのが精いっぱいだった。 人前では泣かない私が… 前職の退職時といい、聡の所為で形無しだ。 でもそれだけじゃなく。 専務には既に涙目を見られてるからなのか… 何の抵抗もなく、心が溢れてた。 「茉歩。 拾ったからには、俺が責任を持って守るから… 明日からまた、よろしくな?」 専務の優しい声と、撫で撫でに変わった体温が… グルグルと包帯みたいに、私を心を包んでた。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3379人が本棚に入れています
本棚に追加