侵食の体温

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専務は、少し面食らってすぐ。 「頼もしいなっ」って、柔らかく笑った。 「笑い事じゃありません。 本気で心配してるんですよ? だいたい、頑張り過ぎたり弱みを見せないのは、専務の方じゃないですか! そんなんじゃ、いつか潰れるって言ってましたよね? ほんとに相棒だと思ってくれてるなら、もっと甘えて下さい!」 「っ… …わかった! わかったよ、茉歩っ…! 今度から小出しで甘えてくっ」 何がおかしいのか、懲りもせずまた笑う。 「いいえ。 今日からフルでサポートします」 変更作業は私が増やした業務だから、ここは絶対譲れない。 強い意志を込めて表明すると。 漸く専務は真顔になって… まっすぐに私を見つめた。 「今日は深夜になるけど?」 「そのつもりです」 「これからは残業が増えるよ?」 「それが何か?」 「…離婚の危機なんだろ?」 「そんな時だからこそ、引いた方が効果的なんですよね?」 「引き過ぎは逆効果だ」 「その時は… 専務に助けを求めます。 必ず離婚を阻止してくれるんですよね?」 そう挑発すると。 専務は諦めたように苦笑いを吐き零した。
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