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それは、私の心を弾けさせて…
「専務っ…!
私っ…、私…
辛いですっ…!」
気付けば、縋るように抱き付いてた。
「夫が、不倫してるんです…
そして昨日っ、このマンションで見てしまったんですっ…
見たくなかったのに!
相手のコを見ちゃったんです…!
若くて、すごく綺麗なコで…
私なんか全然っ、勝ち目もなくてっ…
なんだかっ、自分の全てが否定されたような気がしてっ…!」
「茉歩っ!
茉歩は綺麗だ…!
そのコなんかより、ずっと」
「見てもないのに、明らさまな気休め言わないで下さい!」
思わず顔を上げて、食らいつくと。
「見てなくても!
俺は茉歩が、誰よりも綺麗だと思ってる」
肉食獣の瞳は…
力強くまっすぐと、私の心に突き刺さって。
今度こそ草食動物でしかなくなった私は…
逃げる気にもならない程、この心を捕らわれて。
お互い、視線も逸らせず見つめ合う。
次第に、専務の眼差しは愛しげに変化して…
どちらからともなく、その唇に惹かれ合う。
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