戻った愛と目覚める欲

8/30

3381人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
それは、私の心を弾けさせて… 「専務っ…! 私っ…、私… 辛いですっ…!」 気付けば、縋るように抱き付いてた。 「夫が、不倫してるんです… そして昨日っ、このマンションで見てしまったんですっ… 見たくなかったのに! 相手のコを見ちゃったんです…! 若くて、すごく綺麗なコで… 私なんか全然っ、勝ち目もなくてっ… なんだかっ、自分の全てが否定されたような気がしてっ…!」 「茉歩っ! 茉歩は綺麗だ…! そのコなんかより、ずっと」 「見てもないのに、明らさまな気休め言わないで下さい!」 思わず顔を上げて、食らいつくと。 「見てなくても! 俺は茉歩が、誰よりも綺麗だと思ってる」 肉食獣の瞳は… 力強くまっすぐと、私の心に突き刺さって。 今度こそ草食動物でしかなくなった私は… 逃げる気にもならない程、この心を捕らわれて。 お互い、視線も逸らせず見つめ合う。 次第に、専務の眼差しは愛しげに変化して… どちらからともなく、その唇に惹かれ合う。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3381人が本棚に入れています
本棚に追加