戻った愛と目覚める欲

9/30

3381人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
ただでさえ、専務に心を動かされてたのに… こんな弱った状態で、その優しさと甘い言葉をかけられたら。 たとえ禁断の世界でも、堕ちて……… ダメっ!!! 唇が触れ合う、その寸前で。 咄嗟に顔を背けて、キスを躱した。 「私っ…」 何やってるんだろう…! これじゃ寂しさに弱って不倫した、聡と同じじゃない! 「ごめんなさいっ…!」 専務の身体を押し退けて、その腕から逃れた刹那。 「茉歩っ!」 ガシッと、手首が掴まれる。 肌に伝わる専務の体温は、 やっぱりこの胸を揺さぶって。 慌ててそれを解こうとした私は… どこか切なげで、だけど肉食獣の強い瞳に囚われる。 困惑の瞳で見つめ返して。 必死の思いで、何度も首を小さく横に振ったけど… 身体は、その熱を欲してる。 ダメだ、もう… そして今度こそ、その欲に流されそうになった時。 「悪い、どうかしてた… 忘れてくれ」 フッと力なく笑った専務の、掴んでた手に解放された。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3381人が本棚に入れています
本棚に追加