戻った愛と目覚める欲

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あの時、確かに… 私は専務の体温を欲してた。 だけど。 ー「忘れてくれ」ー その言葉通り、私達はあれから何事もなかったように接してた。 もちろん頭でも、考えないようにしてるけど… 1つだけ。 専務が止めてくれて、ほんとに良かった。 不倫されて傷付いてるのに… それをしてる最低な聡と、似たような事なんかしたくない! 大丈夫。 私はクールに生きて来たし… 欲に流されたりなんか、しない。 「専務、武生興産の社長がお見えになったそうですが… ここにお通ししますか?」 「ああ…そうだな。 ここに通してくれ。 あと、茉歩は席を外してくれるか?」 「はい…、わかりました」 何だろう… 席を外されるなんて初めてだ。 別にそんな事、あって当然なのに… 寂しく感じてる自分がいる。 ああ!もう… 自分から専務を拒んだくせに、何を求めてるっていうの? …違う! それは仕事とは関係ないし、忘れなきゃ… 正確には。 必死に忘れようとしてて… だけどそれは。 不倫相手を目撃したショックを、いつしか薄れさせてくれてた。
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