戻った愛と目覚める欲

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タクシーの待機場所まで移動の最中。 乱されたまとめ髪を解くと、軽く手ぐしで整えて。 再びまとめようとしたところで… その手を専務に掴まれた。 「えっ…」 「そのまま」 そう言って見つめる専務と、その体温に… 堪らない気持ちになる。 「なん、ですかっ…?」 「髪を下ろした茉歩が新鮮で… まだ見ときたい」 「っ… わかりましたからっ…、手を、」 離してもらおうとした矢先。 「あれに乗ろう」 そのまま引かれて、近くのタクシーに誘導される。 「あ… ホテルに着くまでの間、ダメ?」 タクシーの中。 掴まれてた手は、いつしか繋がれてて。 今さら気付いたかのように、それに伺いを立てる専務。 「駄目です…」 このまま繋いでたら、欲に流されそうで… 怖い。 なのに。 緩んだ専務の手から、すぐには離れきれなくて… 漸く指を僅かに引いた、瞬間。 再び専務に、ぎゅっと強く握られる! どうしよう… このままじゃ…! なぜか沈黙の車内で、胸だけがやたらと騒いで。 だけどすぐに、泊まるホテルに到着した。
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