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「許せないなら、同じ過ちを犯せばいい」
エレベーターに乗り込むと同時。
専務から零された言葉に、驚きの視線をぶつけた。
だけど当の本人は動じる事もなく、話を続ける。
「たった1度だけ。
そしたら少し、楽になれないか?
例え許せなくても。
似たような立場になれば、苦しみは半減するんじゃないか?」
いつの間にか、扉が閉まってるその空間で。
思わず。
そうかもしれないと思いながらも…
戸惑う事しか出来ずにいると。
専務は視線をフロアボタンに移して、その空間を動かした。
「俺達は別に、愛し合ってもなければ。
俺には婚約者が、茉歩には愛してる旦那がいる。
だからお互い後腐れもないだろうし。
割り切った関係で、1度だけ…
嫌じゃなかったら。
このまま茉歩を、俺の部屋に連れて行く」
そう言って。
ホテルに着くまでの約束通り、1度は解かれた手が…
またその体温に、力強く繋がれた。
心臓が、あり得ないくらい早鐘を打って…
嫌な訳ないと。
例え拒んでも、またさっきみたいに離れられないと。
過ちへ追い立てる。
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