君の好きな人は……

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君の好きな人は……

「なぁなぁ、何読んでんの?」 学年いや、一年にして学校ナンバーワンの頭脳を持つ彼女。 容姿端麗、頭脳明晰と、天は二物も三物も与えてくれちゃって。 そんな彼女は、俺の中で『彼女にしたい女の子ランキング』ダントツのトップ。 成績底辺をさ迷う俺だけど、なんとか接点を探して、話をしたいんだけど……。 「これ?古代ギリシャにおける神と人との……」 「あ、やっぱいいわ」 これだよ。 もう、話している言葉が日本語かどうかすら分からない。 とりあえず、誉めとくか。 「いやー、さすが才女だよね? 英語の文章もスラスラと……」 「これ、ギリシャ語よ?」 ……折れそう。 それでも、彼女が本から顔をあげてこちらを見た。 これは千載一遇のチャンス! 「なぁ、このパフェ一口どう? 頭使うと甘いもの摂った方がいいって言うじゃん? ほらほら」 無理矢理彼女の口元に、クリームのたっぷり載ったスプーンを持っていく。 とりあえず、一口食べてくれれば、そこからどうとでも持っていける。 自分が同じスプーンを使って間接キスしてもいいし、味の感想を聞いてもいいし、なにかしら話すきっかけになる。 「や、ちょっとやめて!」 「ほら、一口食べなって~」 嫌がる彼女に無理矢理にでも食べさせようとする。 「おい!」 すると、突然沸いてきた他の声。 煩いな。今忙しいんだよ! 「おい、こら!」 ってぇ! 誰だよ!いきなり殴りやがって。 ここでようやく振り向くと、そこには俺と同じく底辺組の陣内。 「嫌がってんじゃねぇか。 止めろよ!」 厳つい顔で睨んでくる陣内。 そう言えば、コイツ空手部だったよな。 や、やべぇ。 「す、すみません!」 勝てるわけがないと、慌てて席を立ち、逃げるように店を出る。 ってか、実際逃げてるわけだけど。 それでも、一瞬だけ振り返ってみると、そこには楽しそうに喋るお二人さん。 ……学校一の才女と、学校一のバカとか、マジかよ。 あ~くそ! 頭いいやつの思考ってマジわかんねぇ! わかんねぇけど、どうすれば振り向いてくれるのか、ほとんど空っぽの頭を最大限使って考える俺は、陣内と同じ大バカ者だ。 なら、俺にもチャンスはあるだろうか?
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