4人が本棚に入れています
本棚に追加
君の好きな人は……
「なぁなぁ、何読んでんの?」
学年いや、一年にして学校ナンバーワンの頭脳を持つ彼女。
容姿端麗、頭脳明晰と、天は二物も三物も与えてくれちゃって。
そんな彼女は、俺の中で『彼女にしたい女の子ランキング』ダントツのトップ。
成績底辺をさ迷う俺だけど、なんとか接点を探して、話をしたいんだけど……。
「これ?古代ギリシャにおける神と人との……」
「あ、やっぱいいわ」
これだよ。
もう、話している言葉が日本語かどうかすら分からない。
とりあえず、誉めとくか。
「いやー、さすが才女だよね?
英語の文章もスラスラと……」
「これ、ギリシャ語よ?」
……折れそう。
それでも、彼女が本から顔をあげてこちらを見た。
これは千載一遇のチャンス!
「なぁ、このパフェ一口どう?
頭使うと甘いもの摂った方がいいって言うじゃん?
ほらほら」
無理矢理彼女の口元に、クリームのたっぷり載ったスプーンを持っていく。
とりあえず、一口食べてくれれば、そこからどうとでも持っていける。
自分が同じスプーンを使って間接キスしてもいいし、味の感想を聞いてもいいし、なにかしら話すきっかけになる。
「や、ちょっとやめて!」
「ほら、一口食べなって~」
嫌がる彼女に無理矢理にでも食べさせようとする。
「おい!」
すると、突然沸いてきた他の声。
煩いな。今忙しいんだよ!
「おい、こら!」
ってぇ!
誰だよ!いきなり殴りやがって。
ここでようやく振り向くと、そこには俺と同じく底辺組の陣内。
「嫌がってんじゃねぇか。
止めろよ!」
厳つい顔で睨んでくる陣内。
そう言えば、コイツ空手部だったよな。
や、やべぇ。
「す、すみません!」
勝てるわけがないと、慌てて席を立ち、逃げるように店を出る。
ってか、実際逃げてるわけだけど。
それでも、一瞬だけ振り返ってみると、そこには楽しそうに喋るお二人さん。
……学校一の才女と、学校一のバカとか、マジかよ。
あ~くそ!
頭いいやつの思考ってマジわかんねぇ!
わかんねぇけど、どうすれば振り向いてくれるのか、ほとんど空っぽの頭を最大限使って考える俺は、陣内と同じ大バカ者だ。
なら、俺にもチャンスはあるだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!