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「うん! しかも、予習も忘れた! 多分今日、私当てられるんだ」 「じゃあ、さっさと持ってって予習したら?」 「ありがとう! 終わったら返す」  慌ただしく僕の手から古典の教科書を受け取って有里紗は自分の教室に戻って行った。台風の様な勢いだな、と僕は思う。 「速水ってさー、結局菅原と付き合ってるんじゃないの?」  近くに居たクラスメイトが僕に言ってきた。 「違うよ。最初思ってたより、キャラ違うとは思うけど」  最初は自信満々と言うか、不遜な感じだと思っていたけれど、実際普通に親しくなれば有里紗はどちらかと言うとさばさばしたすっきりした女の子だと思う。そもそも、一度告白を断ったのに引き下がらないのは僕にしてみれば充分勇ましい。告白されたのが初めてな僕が思う事だから、一般的ではないかも知れないけれど。 「そうか? 菅原って誰にでもああ言う感じだけど、振った男に執着するタイプじゃないけどなあ」  そいつは少し怪訝な顔をして言った。どうやらそいつは僕が最初に有里紗に声をかけられて告白された時の事を目撃していた様だ。 「どう言うつもりなんだろうね。僕はそんな気全くないけど」 「クールだねえ、お前も」
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