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 それから、僕と有里紗は親しくなった。初めは表面上だけだと思っていた。けれど、有里紗は思いの外僕の内側に踏み込んだ。 「ね。千佳って呼んでいい?」  何気なく言われた言葉に僕は断る理由がなかった。僕も彼女を有里紗と呼んでいたから、そう言う流れなのだろうと頷いた。高校生になってから、下の名前で呼ばれるのは初めてだ。下の名前で呼ばれるのは、千世と区別をつける為にされる事ばかりだった僕はおかしな気分になった。何かを許してしまった様な、防御を失った様な。 「千佳ちゃん、最近おかしいなー」  僕の部屋に断りもなく入って来て寛いでいた千世が突然そう言った。 「何が?」 「何ってよく解んないけどー。急に防御力減ってる感じ?」  ベッドに寝転がって、千世が僕を見上げる。 「でも千佳ちゃんが防御力強いのって私のせいだしなー。仕方ないけど。千佳ちゃん私の事嫌いだし」  千世は自分のせいで僕が被害を被っているのを知ってる。それに気付いては、何時も僕を助けに来た。そう言う真っ直ぐな正義感の強い女の子だ。僕は千世が嫌いな訳ではない。ただ、千世に助けられるばかりの自分が嫌いなだけだ。 「千世に関係ないから、もう寝ろよ」
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