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馬鹿は嫌いだ。
街で声かけてくる男も、クラスに一人は居た目立ちたがり屋も
明るい色にパーマでも当てた様な髪型をしている大学生の群れも全部嫌い。
「(・・右、40点)」
勘違い男も嫌いだし、自分に自信がある男も嫌い。
ステータスにこだわって無駄な事を続ける奴も嫌い。
「(左・・62点)」
嫌いだけど、それは口には決してしない。
適当にあしらって相槌打っていればいずれ勝手に終わる。
笑うと言う感情がこうも苦痛に思うのは慣れっこだ。
ずっと握っているグラスが結露で水滴り始めた頃には帰ると言う選択肢しかもう頭の中に残っていない。
周りは楽しそうだが、それを共有できるほど私の許容範囲は広くない。
「怜さんはどうゆう男の人が好きなんですか?」
「・・・私?」
居酒屋は無駄に大きな店員の掛け声と、催促を意味する呼び鈴の音、あと各々の持つ事情話で賑わっている。
人の声に聞き耳を立てていないと反応し損ねる程には煩わしい。
「もしかして、この中にタイプ居たりしますー?」
不毛だ不毛だと思ってはいたけれども、そろそろお腹も膨れたし、飲みたいお酒は全部頼んだし、目の前の奴らに未練なんてないし。
おそらく自分より年下の学生のような男が軽はずみなノリだけを起点に放った言葉に本当に小さく微笑むと、私はそれを潰す様な言葉を吐きだす。
本当にめんどくさい、煩い生き物。
「私より、頭が良くて男らしい人がタイプかな」
清々しいほどハッキリ、聞き逃しなんてさせない強さで出した声はその場に居る全員に聞こえた。
へぇ、と素っ頓狂な返事しかしない男性陣と、私の両隣で笑う友人2人。
彼らが引っ掛かっていたのは“頭が良い”と“男らしい”一体どちらなのだろう。
まぁ、見る限りではどちらも持ち合わせていないようには見えるが。
「い、意外だなぁ・・こう甘えてほしいのかと思ってた」
「甘えられるのは嫌いかな。男らしくないし」
面白い程に白けた場を肴に変にお酒が進む。
そして始まって1時間ぐらいだろうか、居座った居酒屋の席で向き合うように座った男性3人を見て頭の中で悪い意味しか持たない単語をそっと浮かべた。
「(真ん中は、“圏外”っと)」
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