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握られた手の熱が心拍数を踊らせる。
「遠野はもう俺に興味なんてないのかと思ってたから……」
「んなことあるわけねぇだろっ」
「でも避けられてたし、女子と仲良くしていたし……。俺のこと好きって言ったのは、失恋への同情だったんだなって思ってた」
離れていこうとする指先をつかんで体ごと引き寄せた。細い肩が胸にあたり、サラサラとした髪が頬に触れる。
「避けてたのは日下部がいたから……。俺よりあいつのが都築の理想だって思ったから。邪魔しちゃいけねぇってさ」
肩を抱いても抵抗しない都築。俺のこと嫌じゃねぇってこと? 逞しくない胸だけど、筋肉少な目の腕だけど。
「ゴツい人に憧れてたけど、でもそんなの全然重要じゃなかった。こいつに童貞奪われんのかって思ったら悔しくて怖くて。俺が抱かれたいのはこの腕じゃないって……」
見上げる都築は頬が腫れて散々な状態だけど、とてもとても綺麗だった。
「お前が抱かれたいのは、どの腕なんだ?」
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