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「いいよ、出せよ」 「やっ……、ああっ」  嫌がる素振りを無視して搾るように吸い上げると、都築の熱は俺の口の中で弾けて溶けた。  大きく胸を上下させてしばし放心したのち、ハッと身を起こして都築は俺にすがりつく。 「ごめんっ、俺、口の中に……」 「ごちそうさま」  舌を出して笑ってみせると、一瞬目を丸くしてそのすぐあとに唇を重ねてきた。慣れない舌使いで俺から唾液を絡めとるように吸い付いてくる。 「っんん」 息継ぎすらさせない勢いのキスが終わると 「消毒」 なんておかしなことを言う。 「俺の汚いの、飲ませちゃったから……」 「バカだね」 なんて可愛らしいこと言うんだこいつは! 「お前に汚いとこなんてないぞ。お前から出るもの全部、俺が飲み干してやるわ」 「バカはそっちだ。変態っ!」  顔面爆発させてにらまれたって、変態と罵られたって全然痛くない。ほんとにこいつの全部がほしくて全部が愛しくてたまらないんだから。
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