10/12
前へ
/92ページ
次へ
「っあ!」  固く閉ざした秘密の入口を指の腹でゆっくりと綻ばせ、ほんの少し出来た隙間から指先を滑り込ませる。 「痛い?」 「ん、へいき……っあ、ん」 傷つけないよう時間をかけて指を増やしていく。 「……っあ、あ、あ」 出し入れをするたびに都築の呼吸は上がり、声の甘さが増していく。それに誘われ、俺の中心に痛いくらいの欲情が溜まっていった。 「とおの、もう入ると思う、から……」  もう一度ハンドクリームを足して、柔らかく開きかけたそこへ熱情の塊を押しあてた。本来受け入れる場所ではないそこは、不埒な侵入者を拒むように切先を押し返してくる。  戸惑いに動きを止めた俺を引き寄せ、都築が吐息混じりに囁いた。 「きて……亮平」 え? 名前!? 都築が俺の名前を呼んだ! たったそれだけのことに俺は落涙していた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

537人が本棚に入れています
本棚に追加