537人が本棚に入れています
本棚に追加
「亮平? どうして泣くの?」
「お前が、名前、呼んでくれたから」
そんなことぐらいで泣くなんてバカみたいだ。わかってる。でも『亮平』なんて平凡な名前が、都築の唇から発せられた途端に、特別な意味を持つ言葉のように聴こえるから。
「亮平、好きだよ」
優しく髪を梳かれて見つめられると、照れ臭くてたまらないからそっぽをむいてやる。
「顔、見せてよ、亮平」
両手で頬をむいっと正面を向かされ、首もとにぶら下がるようにして唇を重ねてくる。絡み合う舌から流れ込んでくる痺れるような甘い官能。
「真、まこと……」
同じように名前を呼べば、心が深く強く繋がれた気持ちになる。俺の名前が特別な意味を持ったように、それ以上に尊く大切な名前。この世にたったひとりの、俺の大切な人。
「まこと」
「亮平、好き。だから俺を亮平のものにして」
最初のコメントを投稿しよう!