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ボディガードの遠藤さん
頭の上から植木鉢と看板が落ちてくること、各一度ずつ。
駅の階段から突き落とされること、二回。
ちゃんと歩道を歩いているのに、そこに暴走車が突っ込んで来たのも、
「うわぁーっ!」
――これで三回目だ!
ボクは悲鳴をあげながら、目についたパン屋とCDショップの間の路地に飛び込んだ。
車はブレーキも踏まずタイヤをバウンドさせ、一段高い歩道の縁石を乗り上げて、パン屋のショーウインドゥに鼻面を突っ込ませてから、やっと止まった。
並んでいたパンがみんなガラスまみれ。
キャーキャーキャーキャー、サイレン代わりの女性の悲鳴をBGMにして、車はギュルルとバックする。
そしてボクが潜り込んだ、車が追ってこられそうにない狭い路地を、スモークフィルムの向こうから一度睨みつけてから、車はどこかに走り去っていった。
もちろん『ごめんなさい』も言われない。
ここまでされればボクにもわかる。
ボクは、命を狙われている。
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