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村に入ってすぐ、村長の家の前に五人の男が集まっており奥原と話しをしていた。
努と梶に気づくと、五人と奥原がやってきた。
不安になった努は梶を見た。
梶はメガネをかけた目で男たちを鋭く睨んでいた。
「村の連中にも紹介してやろうと思っての」
奥原は笑顔を作っていたが、その目が笑っていないことにすぐに気づいた。
奥原の後ろにいるのは全員男で、中年が二人、老人が三人だ。
全員がもんぺに半纏のような防寒着を羽織っている。
男たちは誰も笑っていなくて、二人を値踏みするように見ていた。
「ほう、それはそれは。出来れば村人全員に挨拶したいですね」
梶は不敵に答える。
ただならぬ雰囲気に、努はただ梶と奥原の顔を見比べることしか出来ない。
「集会所として使っている大きい建物がある。そこにみなを集めよう」
そういって奥原は背を向ける。
梶が奥原についていったので、努も続いた。
並んで歩く努と梶を挟むように、中年の男が左右を歩く。
老人の三人は努たちの後ろを塞ぐようについてきた。
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