一幕 まさかの事実

2/8
前へ
/12ページ
次へ
「巴、またテスト最下位じゃん。」 後ろから甲高い声が聞こえる。 正直うるさい。 セミロングの茶髪にバッチリ化粧の いかにも女の子らしいこの女の子は 小野花菜。 私の同級生だ。 それ以上でもそれ以下でもない、 ただの同級生だ。 「また嫌われるわよ、頭悪いくせに チョッと容量良いだけで学校に 残ってるって」 私の通うこの私立雅山学校は看護師養成の名門校。 両親を幼い頃に亡くし、町医者だった祖父に育てられた私は、机勉強には弱いが実技にはめっぽう強く、その単位だけで今まで進級してきた。 そして先生(医師)に気に入られてしまった。 その事が気に入らない生徒が多数いて 私は嫌がらせの対象になるほど嫌われてしまったのだ。 「帰る。」 「え、今日は一緒に100円アイス食べに 行くって約束したじゃん!?」 約束とは一方的にするものじゃないと 言うことが18にも成って分からないのだろうか。 彼女の将来が心配だ。 いつまでも叫び続ける花菜を残して 私は家への帰路に着いた。 この日、私の将来に関わる重大事件が 起こることを知らずに…。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加