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「巴、またテスト最下位じゃん。」
後ろから甲高い声が聞こえる。
正直うるさい。
セミロングの茶髪にバッチリ化粧の
いかにも女の子らしいこの女の子は
小野花菜。
私の同級生だ。
それ以上でもそれ以下でもない、
ただの同級生だ。
「また嫌われるわよ、頭悪いくせに
チョッと容量良いだけで学校に
残ってるって」
私の通うこの私立雅山学校は看護師養成の名門校。
両親を幼い頃に亡くし、町医者だった祖父に育てられた私は、机勉強には弱いが実技にはめっぽう強く、その単位だけで今まで進級してきた。
そして先生(医師)に気に入られてしまった。
その事が気に入らない生徒が多数いて
私は嫌がらせの対象になるほど嫌われてしまったのだ。
「帰る。」
「え、今日は一緒に100円アイス食べに 行くって約束したじゃん!?」
約束とは一方的にするものじゃないと
言うことが18にも成って分からないのだろうか。
彼女の将来が心配だ。
いつまでも叫び続ける花菜を残して
私は家への帰路に着いた。
この日、私の将来に関わる重大事件が
起こることを知らずに…。
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