プロローグ

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全ては タイミングだと思う。 自分という存在を認識するのも、 他者という存在を意識するのも。 タイミングという名の ほんの些細な“切っ掛け”が成す結果なのだと思う。 数多の出会い、 数多の出来事、 数多の瞬間的な思い。 それらの膨大なデータに基づいて弾き出される“切っ掛け”が、 時には 有効であり、時には……取り返しの着かない事態を招くんだ。 分かってる。 そんな事、イヤって程 理解してる筈だった。 いい大人がタイミングを外す筈ないだろう? 少なくとも、人生の波というものを それなりに乗りこなしてきた俺には 関係無いと思っていたんだ。 いや、思いたかったのかもしれない… 実際は 甘くないんだから。 人生も、 タイミングも、 俺が思う程 甘くも 簡単でもなかった。 全てはタイミングだ。 それに 間違いは なくても… タイミングって奴は 必ずしも思い通りには ならない。 だから、俺は 待つ。 次のタイミングを──
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