プロローグ

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「んんー、そうか。そう来るかぁ…」 助手席に座る彼女は、煙草片手に気怠げな声で そう言う。 それは、俺の一世一代の申し出に対し あんまりだと思った。 確かに、突発的に言った俺が 悪いかもしれない。 何の用意もなく言う台詞ではなかった気もする。 だからと言って… 「まぁ、“副長”の次でもいい なんて言ってるの“ジンにぃ”くらいだしねぇ…」 今、この場で 他の男を持ち出すかぁ? 俺だって、こんな予定じゃなかったんだよ! しかも… よりによって、“副長”って、お前… 耳にタコが出来るほど聞かされてきた男の顔が 脳裏に浮かぶ。 彼女が、“ルパン三世”と並び理想の男だと騒いでいるのだが、俺には共通点が全く見当たらない。 分かる奴がいるなら教えて欲しいもんだ。 “ルパン三世”と……“土方歳三”の共通点を。 「はぁー…」 最早、溜め息しか出ない。 俺、何で こんな女が いいのだろう… 我儘で 自堕落で 享楽主義者の癖に… 人一倍 臆病で 潜在的排他主義で 張り子の虎の様な… 14歳も年下の こんな しょーもないガキを…
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