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1kmほど離れたところに病院はあった。受付に場所を聞いて病室へ向かう。ドアを開け、中に入るとお母さんは目をつぶっていた。その横にはお父さんがいて、僕は驚いた。知っていて、伝えてくれなかったのかよ。
お父さんを無視してお母さんのもとへ近づく。後24時間で死んでしまうなんて信じられなかった。
もっと一緒にいられると思ったのに。そしたら、もっと喜ぶ顔も見ることができた。中学に入ってからは、反抗しかしてこなかった。心配されるのがうざかった。だけどうれしかった。
「どうしてだよ。誰か助けてくれよ」(心の声)
「助けましょうか?」
後ろを振り向くと、家で、お母さんが交通事故にあったことを教えてくれた女性が立っていた。
「助けてくれ。何でもするから」
「わかりました」
女性はまたにやりと笑い、指をぱちんと鳴らす。
するとお母さんはゆっくりと目を覚ました。僕は安心した。だけど体がふらつく。勢いよく走ったから貧血を起こしたのか。後ろを振り返ると彼女は音もたてずにただ、笑っているだけだった。そういえば彼女はお母さんを助けてくれる代わりに条件があるといっていた。それは僕が死ぬことなのだと悟った。
「どうしたの?大丈夫?」
今にも倒れそうな僕を見てお母さんは心配をしてくれる。テーブルに紙と鉛筆があるのが見えた。必死に近づき鉛筆をとる。紙に文字を書こうとしても手が震えて、まともな文字が書けない。それでも精一杯きれいに書こうと、そして心を込めて書いた。
最後の言葉を。
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