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「もうフラれたー?」
「ブッ!!」
思わず口に入れた缶コーヒーが夜空に水滴ほどの弾となって発射された。
「ゲホッ…こ、告ってないっすから!!」
いつもの口調で涼さんは相変わらず優しそうに笑って、毎度の如く、俺をいじる。
「ん?今日は調子悪いなぁ…」
コンビニ前の灰皿の前でしかめっ面で、路上に溢れたコーヒーの距離を計る涼さん。
ホント悪趣味だ。この人、ホント悪趣味だ。
「金メダリストまさかの予選落ちー」
そう言って、無邪気に残念がる姿も爽やかなイケメンだから、余計に性質が悪い。
でも、そんな涼さんが好きなんだけどね。
…え?いや、まーこから乗り換えたわけじゃないよ?
…つーか、好きの意味ちげーよ!!
「まぁ、人生ってこんなもんじゃね?」
涼さんは笑って俺の肩に手をかける。
「絶対に絶好のタイミングくるからさ、そん時は金メダル獲ってこいよな」
「うす!」
さらりと揺れる前髪から覗いた優しい瞳が細くなる。それに俺は笑って答える。
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