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「誰かー!助けてぇー!」
深夜のバイト中、女性の助けを求める声がコンビニ内に響き渡った。
何事っ!?って、思わず声のする方を振り返ると、3段に積まれた大きめの段ボールをふらふらとよろめきながら運ぶまーこの声だった。
レジから見てると、足の生えた段ボールのお化けにしか見えない。
その頭頂部からボロボロとカップ麺をこぼしながら、よろめく度に陳列棚にぶつけ、その拍子で陳列されていたお菓子を悲しいくらい床にまき散らしてもなお、一向にバランスを取ることができないでいる。
「誰かぁ…助けてよぉ…」
…おい、まーこ
誰か助けて…って。
店内には俺しかいねぇだろ!?
そんなツッコみを入れつつ、弱々しく助けを求める段ボールのおば…いや、横着者のまーこに駆け寄って、呆れながらも反対側から段ボール支えてやると、やっとそのふらつきが収まった。
「ほ。助かったぁ」
「ったく、一度に持ちすぎ」
「だってさー」
「だってさーじゃないだろ?」
段ボール越しから聞こえる声は落ち着きを取り戻し、明るく跳ねる声で「てへへ」と誤魔化そうとするまーこ。
小柄なくせによく持つわ…なんて思ったのは、決して、ふいにまーこの手に触れて、ドキッとしたのを隠したわけじゃない。
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