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「俺が持つから、まーこは散らかった商品を拾っといて」
「了解した!」
そう言って、まーこはパッと手を離すもんだから、思わずバランスを崩してしまい、なんとか右足を引いて踏ん張った。
グシャッ――…
「あ…」
「あ…」
かかとの辺りに嫌な感触がする。まるで箱が潰れたような音…いや、まさに箱が潰れた音だ。
「あーあ。マサの弁償だね、こりゃ」
「はぁ!?元はと言えば、まーこのせいじゃん!!」
段ボールが邪魔でまーこの顔は見えなかったけど、きっと「にししっ」て顔して俺の方を見上げてるに違いない。
そういう女なのだ、まーこってやつは。
「しょーがないなー。ハーゼンダッツご馳走してくれるなら、半分出してあげよう」
一瞬、思考を張り巡らしたけど、どう考えてもアイスを奢る方が損だから「その提案は却下」と突っぱねてやろうかと思ったけど、それはやめた。
「ったく、わかったよ」
「え!?マジで!?やったー!!」
「その代わり早くここ片づけろよ」
「りょーかいッス!!」
まーこはへにゃへにゃしながら俺に敬礼して満面の笑顔を向けた。
お客さんのいない深夜のコンビニでのバイト。
つまりこの可愛い女の子と2人きりのバイト。
そう俺は今、目の前で無邪気に笑う彼女に恋をしている。
そんな彼女の笑顔が見れるのなら、アイスを奢るのくらい安いもんだ。
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