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「もう告ったのー?」
「ブーッ!!」
思わず口に入れた缶コーヒーが霧状になって夜空へと噴射された。
「ゲホッ…な、なんのことですか?」
のんびりした口調でバイトの先輩である涼さんは相変わらず優しそうな目をして、唐突にそんなこと言い出した。
「あはっ。めっちゃコーヒー飛んだじゃん。記録更新かもよ?」
コンビニ前の灰皿の前で目を細めて、路上に飛びちったコーヒーの距離を目測している涼さん。
いつも唐突に変なこと言って俺をからかうのが彼の趣味。ホント悪趣味だ。
「お、記録更新!マサ選手!堂々の金メダル!」
そう言って、無邪気に笑う姿が爽やかだから、性質が悪い。
でも、別に嫌じゃないんだけどね。
「…で、なんの話だっけ?」
涼さん、自分でふっといて忘れないでよ…なんて思いながら、半分以上なくなったコーヒーを一口飲む。
「俺も忘れちゃいました」なんて答えると「だよねー」って平気で言いのける涼さん。
たわいのない話に花を咲かせながら「そういやナオがさー」とか「昨日茜がさー」とか夜勤の俺とあまり接点がないバイト仲間の話をしてくれる涼さん。
多分、俺のことも他のシフトの人とかに話してるんだろうなーなんて思いながら話を聞いてると、暗闇の向こうから眠そうな顔したまーこが自転車に乗ってのらりくらりとやってきた。
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