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どうしたら信じられるのと、瑞希は言った。
他人に心を開いて傷つきたくないと、涙を浮かべて。
浩二はそれを目に、罪悪感に押しつぶされそうになる。
(なにしてるんだろう、俺)
本当のことなんて、一生言うつもりがなかった。
対する瑞希は、付き合う前に自分の手の内を明かしていた。
言わないのはフェアじゃないからと前置きをして、浩二はただ結婚の条件にあっただけと。
彼女にすれば、浩二との付き合いは不当の連続だっただろう。
だけど隠し通せずに知られてしまった今、はぐらかすわけにはいかない。
きちんと向き合って、わかってもらえるまで頭を下げるしかないのに、それが正しい方法かなんてわからなかった。
実際はどうしたって彼女を傷つけるのだから。
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