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ミヤサカは、仕立てのいいジャケットを着て、前が見えないほど大きな花束を抱えて立っている。
瑞希は唖然とした。同時に心臓がバクバクと打ち付けた。
「ちょっと……。いったいどうしたんですか」
周囲のざわめきと嬌声が一段と大きくなった。
当然だった。
通りすがりなら、瑞希だってなにかの撮影かと思うだろう。
当のミヤサカはさして気にした様子もなく、「遅れてごめん」と弱った目で言った。
「ここ数日、婚活ブログを読んでたんだ。
それでここぞという時は、花束が必須だってあったから」
彼は照れ笑いを浮かべつつ、「はい」と瑞希に花束を差し出す。
ぎこちなさを除けば、その姿はまるで、外国の絵本から出てきた人のようだった。
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