1682人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
(なにそれ……)
それは一部のうかれた人の意見で、だれにも共通するはずがない。
だけど瑞希が喜ぶと信じての行動を、責められるわけがなかった。
瑞希は受け取った、ずっしり重い花束に目を向ける。
ほんのり香る甘い匂いも含めて、この状況が現実のものじゃない気分になった。
歓声があたりを包む中、ミヤサカはまた一歩瑞希に近付いて、「あとこれ」と、苦笑まじりに小さな紙袋を差し出す。
瑞希はそれを見つめるだけで、動かない。
両手で花を抱えているから、受け取りたくとも受け取れないのだ。
それに気付いたミヤサカが、慌てて「ごめん」と手を引いた。
(本当、なんなの……)
瑞希は彼と紙袋を交互に見ながら、胸が熱くなる。
いつか。 本当にいつか。
婚約指輪にあのブランドのものをねだるつもりだったのに、どうして彼が知っているの。
最初のコメントを投稿しよう!