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「……宮坂さん。
私たち、うまくやっていけると思いますか?」
木陰から出た途端、強い日差しが降りそそいだ。
瑞希は思わず目を眇める。
振り返った彼は、微笑みだけを返した。
それがあまりにも柔らかい目だったせいで、瑞希は同じように笑ってしまった。
それから思う。もしかしてミヤサカと一緒にいるということは、こういうことかと。
腹が立つこともあるし、傷つけられる時だって、傷つけてしまう時だってある。
だけど彼となら何十回でも何百回でも、その度に向き合える気がするから不思議だ。
瑞希はゆっくりと空を仰いだ。
ビルの隙間から濃い青が見える。
「いいお天気ですね」
呟いた言葉に返事が帰ってきたのは、それからすぐのことだった。
モンタージュ
2016.5.19 完
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