結末後からの序章

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 ーー愛する人との記念日は、二人で過ごすものだと思ってた。まだ本気の恋愛を知らない、幼い頃から、少女漫画であるような、背伸びして観てた恋愛ドラマみたいに、ロマンティックなシチュエーションで、愛を囁き合い、抱き合うもの。  私は彼の好きなワインを買って、料理をするの。ご馳走の最高のスパイスは、愛情だなんて古典のような台詞だけれど、私はその通りだと思う。  ケーキだって用意したの。チョコプレートに書いてもらうメッセージをお店の人に伝えるときは、恥ずかしかったなぁ。誕生日じゃないけれど、ローソクを立てて、電気を消して、ワインをグラスに注ぐ。  私達はそうやって記念日を祝い、また今度の記念日までの過程を楽しむ。そう思っていた。その時までは。  
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