喪失の夜明け

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「とりあえず裏庭も見に行って見ようぜ?なんか手掛かりがあるかもしんねぇ」   カイトの一言に、アレンは不安顔を振り払うように身震いして歩き出した。   もう一度陰惨なロビーを抜け、玄関を出て建物沿いに裏庭へと回り込む。   さすがにこちらは被害がなかったのか、手入れの行き届いた花壇や菜園は瑞々しい青葉を空へ伸ばしている。   庭の隅には園芸用品や器具を収めているのだろうあずま屋があった。   「何にもなさそうだな……一体どこへ行っちまったんだ?」     カイトが呟きながらあずま屋の戸を開けた瞬間、黒い人影が飛び出し、カイトへ向かって斬りつけて来た。   「うわっ!?」   何とかよけたカイトだが、勢いで尻餅をついてしまった。   「畜生っ!!まだ残ってやがったか!?」   ひっくり返ったままどうにか刀を構えようとするカイトにその男が片手で斬り掛かる。   「やめろッ!!」   二人の間に割り込んだアレンは、振り下ろされた剣を弾き返した。   「クラト先生じゃないですか!俺です、アレンですよ!!」   それは、げっそりとやつれた顔のクラトだった。 驚いた事に、左腕があるべき所に腕は無く、二の腕の真ん中あたりに応急で布を巻きつけてある。
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