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いつの間にかクラト達も側にやってきていた。
皆でユリアンの様子を注視している。
ユリアンはこんな時であったが口元にうっすら笑みを浮かべ、声にならぬうわごとを言っているかのようにもごもごと口を動かしている。
「ユリアン…」
アレンが軽く揺すりながら声を掛けると、ユリアンはぼんやりと薄く目を開けた。
「……アレンかい?変だな、何でこんな所に君が居るんだろう?……」
心ここにあらずといった感じでユリアンがゆっくりと口を開く。
「何だか夢を見ていた……小さい頃観たユディトス王の悲劇…裏切り者に背中を刺されて死んでゆく王を見て……悲しくて、泣いてた……」
ゆっくりとまだ夢の続きを追うように、うっとりとしながら話し続ける彼を、誰一人遮れずにいた。
「そしたら、公爵さまがそばにやって来て……僕に言ったんだ。『儂が居るよ。家族になろう』って……。ずっと側に居てあげるって……」
「ユリアン……」
アレンは堪えきれなくなって、肩を震わせながら零れ落ちる涙を止める事が出来なかった。
「君はなんで泣いてるの?……おかしな奴だね」
ユリアンはフフッと笑って手を伸ばした。
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