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「アレン一人じゃ危なっかしくて安心出来ねぇしな。しゃーねぇからついてってやるよ」
カイトは始めからそのつもりだったにも関わらず恩着せがましく答えるが、アレンは望みが叶った嬉しさにあまり気にしてないようだった。
「では決まりだな。我々は急がねばならない。ここからマルリオンまでは真っ直ぐ馬で行けば三日といった所だが、少し東寄りに街道を逸れた所にカレント村がある」
クラトが今後の予定を説明しているのを聞いているのかいないのか、ユリアンはナルヴァ村の方向へと視線を彷徨わせている。
それへ心配げにチラと目を配りながら、クラトは続けた。
「カレントには私の仲間が待機しているので連絡を付けたい。ここから10数km進めば別れ道に差し掛かるから、そこで二人のどちらかに使いを頼みたいのだけど……」
そこまで言って言葉を切ると、二人を見やった。
アレンはカイトと目配せをする。カイトが仕方なさそうに溜め息をつきながら、小さく手を挙げた。
「はぁ、俺が行きますよ。誰を探せば良いんですか?」
「それは道中説明しよう。今は時が惜しい、私達は随分と時間を無駄にしてしまった。先を急ごう」
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